ブルームバーグによると、企業価値は4月、1000億ドルに達し、H&MやZARA、ユニクロを上回るという。 日本では、2020年12月に日本語サイトが開設され、10代20代を中心に支持を拡大している。11月12日には東京・原宿にショールームがオープンし、話題を呼んだ。
批判されている人権問題とは?
スイスの人権NGO「パブリックアイ」は2021年11月、中国・広州にある1000の生産拠点やそこで働く労働者への調査などをまとめたレポートを発表。 報告は▽工場の安全基準に懸念がある▽労働者は雇用契約を交わしておらず、社会保障や時間外労働の割増賃金のない不安定な立場で働いている▽労働時間は1日あたり11〜13時間、ほぼ週7日と長時間に及んでいるなどとしている。 Business Insider Japanはその内容について、「1日に18時間働くことが頻繁にあり、週末はなく、休日は月にたった1日」「基本給がなく、服1着を作るごとに約6円」「1つミスをすると日給の3分の2の罰金が科せられる」などと紹介している。 さらに、ブルームバーグは11月21日、同社がドイツの研究所に委託した検査で、SHEINの商品に中国・新疆ウイグル自治区の綿が使われていたことが判明したと報道。「新疆綿」は、強制労働で作られた疑いがあると国際的な批判が高まっており、米税関・国境取締局(CBP)は2021年に輸入を禁止している。 22日には、「チャンネル4」の報道を受けて、「SHEINコミュニティの皆様へ」と題した声明文を発表。「サプライチェーンで働く人々の福利厚生を守る責任があることを認識している」とした上で、「2カ所のサプライヤー施設において許容できない労働条件が存在したという主張について、調査を開始した」などと報告した。 続けて、過去12カ月で2600件を超える工場への監査を行ってきたなどと、自社の人権への取り組みも説明した。 BuzzFeed NewsはSHEIN JAPANに対し、人権問題についてコメントを求めている。回答があり次第、追記する。
ファッションブランドの人権問題、過去には不買運動に繋がったケースも
ファッションブランドにとって、サプライチェーンでの人権問題は経営リスクに直結し得る重大な課題だ。 過去には、1990年代に、大手スポーツブランド「ナイキ」の東南アジアの工場で児童労働や長時間労働などが発覚し、大規模な不買運動に発展した事例がある。 また、バングラデシュで2013年に大手ファッションブランドの縫製工場が入った商業ビル「ラナプラザ」が倒壊し1000人以上が死亡した事故では、工場の劣悪な労働環境が明るみになり、ファストファッションへの批判が一気に高まった。 世界では欧米を中心に、企業に対し、サプライチェーンで人権侵害が起きていないかを把握し、予防や改善することを求める「人権デューデリジェンス」の法整備が加速。日本政府も9月、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表した。 株主が投資先企業に「ESG(環境、社会、ガバナンス)」への取り組みを求める動きも加速しており、Sの指標に含まれるサプライチェーンでの人権侵害は資金調達のリスクにもつながる。 また、SHEINへの批判は、人権問題にとどまらない。 同社は著作権の侵害をめぐる訴訟を複数抱えているとされる。大量廃棄・大量生産を加速させるファストファッションには、環境問題への危機感を背景に、風当たりも強まっている。 株主や消費者、取引先、政府。あらゆるステークホルダーが企業の社会的責任を注視する時代、SHEINの姿勢と対応が問われている。