ペットと暮らす人が抱く、こんな不安に応えるアイテムがある。 その名も「もしもヘルプ手帳」。 飼い主に不測な事態があった際に、自宅で待つペットがいることや、ペットの世話をするにあたって必要な情報を伝えることができる。 ねこ用の、もしもヘルプ手帳の表紙に書かれたメッセージだ。 開くと、飼い主の「もしも」のときに必要となる情報を記載するページが続く。 飼い主の情報や代理人の連絡先、かかりつけの動物病院。猫の情報にいたっては、名前や年齢、健康状態といった基本的なことから、マイクロチップの番号や避妊手術の有無、普段使っているトイレ砂の種類まで、詳細な項目が用意されている。

アイデアは「母子手帳」から

開発のきっかけは、一人暮らしで猫を飼う友人の一言だったという。 「もし外出先で自分の身に何か起きてしまったらと思うと、家にいる猫のことが不安でたまらない」 オキさんも、自宅で2匹の猫を飼っている。同居する家族がいるため、それまで友人のような不安を抱いたことはなかった。しかし、よくよく考えれば、家族全員で外出中に事故に巻き込まれる可能性もあるし、猫の面倒を一番見ている自分にしか分からない情報もある。 何かできることはないだろうか。そんな思いから、2020年9月、スマートフォンのロック画面や壁紙用に「おうちに大切な家族がいます 私になにかあったら気にかけてもらえると幸いです」というメッセージを添えた画像を作成した。 「猫用の母子手帳を作って、そこに『もしも』の時に必要な情報も加えられるようにしたらいいんじゃないか」 Twitterで10万を超えるフォロワーがいるオキさん。普段から愛猫の写真を投稿しているため、猫好きのフォロワーも多い。手帳のラフ画を投稿し、内容への意見を募集。 すると、自分では考えも及ばないアイデアが次から次へと集まった。 たとえば、トイレ砂の種類を書く項目。トイレ砂を変えると排泄しなくなる猫がいるという声が寄せられ、追加することを決めたという。 「飼い主さんが本当に必要とする項目にこだわり抜いた」。オキさんはそう話す。 同時に「犬用はないのか」などの問い合わせも相次ぎ、2022年10月には、いぬ用とどうぶつ用の販売も開始した。 また、手帳だけではなく、「ねこが家にいます」などと書かれたステッカーやマグネット、携帯が容易な「ヘルプカード」など、商品のバリエーションも増やしてきた。 もしもヘルプ手帳は一冊990円(税込)。1冊50円が「公益財団法人 日本動物愛護協会」に寄付される。ウェブサイトから購入可能。

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